このところTVで、子どもたちのステージ発表の場で
Tpの日野さんがドラムの子を叱ったことが話題になっています。
と書くと「叱った?あれは暴力でしょ!」
というご意見もあるかもしれません。
私は、音楽をセッションする場において大事なのは
もちろん個人の技術もさることながら
周りに対してのリスペクトと協調性だと思っています。
プロとしてではなくとも、舞台に立ったことのある人間なら
多分おわかり頂けると思うのですが
一人が暴走することで、舞台の全てが壊されちゃう。
セッションって、自由に見えると思うけれど
きちんとルールがあって、マナーを守ってやっているもの。
それをわかっている人なら、暴走はしないと思うし
わかっている人しか、舞台ではやっていけないんじゃないかなぁ。
ステージって、演奏している人たちだけじゃなくて
ステージを作ってくれているスタッフさんも含めて
音響さんや照明さん、大道具さんや
運営してくれている方、受付してくれている方
みんなが力を貸してくれているからこそ、できるもの。
本番での暴走は、こういう方々全員へも
がっかりさせるものですよね。
教育の場でもあった、今回のステージで
たくさんの方が見ている前で、スティック取り上げて
手を挙げたという出来事。
確かに、シチュエーションは悪すぎですけど
特に、大きな音のする楽器は
「自分よがり」が効いちゃうんで

箏なんて、暴走したくたって
音小さいから、無理だし(笑)
でも、本当に相手を尊重し
一緒に大切に音楽を作ろうと思っている本物のミュージシャンは
音の小さな楽器に対しても、きちんと場を作ってくれます。
その昔、まだデビューしたての頃
BEGINのお3人、ギターの押尾コータローさんたちと
ご一緒させていただいた時のこと。
箏で私がどういうことができるかご存じなかったので
「箏でアドリブソロは難しいかな?」
「メロディーそのもの、弾いてくれるだけでもいいよ?」
と心配してくださっていました。
さらに、歌の方が音がちょっと合わない、とのことで
急遽Keyが変更になり
「箏、大丈夫なの?」と
皆さん私を、とてもとても心配してくださり。
しかも皆さんのギターはラインでとっているのですが
私はマイクでしか、音はとれず
これはちょっと私の音量は厳しいなとは思っていたんです。
まぁでも仕方ない
諸先輩方とのステージだし
そこに一緒に存在できていれば十分!
と思っていたのですが
本番で私のソロの時になったら
急に皆さん、スーッと音量を、小さく小さ〜くしてくださって!
音響さんも当然、私の方を上げてくださっていたと思うんですが
ステージ上で演奏している皆さんが
本当に全部、私に譲ってくださったんですよね。
弾きながら、本当に嬉しかったし感激しました。
これが、本物のミュージシャンだよなぁって。
いろいろな場面で、音の大きさで負かされて
なんか箏って存在感、ない?というシーンは
それまでたくさんあったので
本物のミュージシャンたちは
どんな相手も、きちんと尊重して、合わせて
「舞台を生かす」ということを大事にする
ということを、実感した出来事でした。
今回のドラムの中学生
きっと、自分の演奏に自信がある子だと思う。
それを、あれだけステージにぶつけられて
スティック取り上げられても素手で叩くなんて
本当にガッツのある子だと思います。
うまく伸ばせば、すごいドラマーになるんじゃないかな?
こんなことで話題になっちゃって
ちょっと傷ついているだろうけど、それは自業自得ってきっとわかっている。
舞台は一人のものじゃないって、ものすごく叩き込まれたと思う。
きっと将来、箏みたいな楽器に対しても
ちゃんと譲ってくれるようなミュージシャンになれるよう
日野さんは叩き込んだんだと思う。
こんな報道に負けないで
がんばって実力伸ばしてほしいなぁって思います。